製造業のポイントは、いかに差別化した製品を作りあげるか、その製品を作る労働者をいかにうまくマネジメントするかにあると思います。
その結果、製造業で起きてくる問題は、ライセンス交渉、特許権の侵害等の知的財産権がらみの法律問題の問題と、残業代請求、ユニオンとの交渉、問題社員対応等の労使問題です。
①製造業の解決事例1-海外ライセンサーとの契約交渉
②製造業の解決事例2-特許権侵害訴訟
③製造業の解決事例3-ユニオンとの交渉
④製造業の解決事例4-問題社員対応
詳細は以下をご確認ください。
①製造業の解決事例1-海外ライセンサーとの契約交渉
クライアントは、アパレル製品を販売する会社で、アメリカの有名ブランドのライセンス生産を行っていた。
ライセンス契約は3年に一度更新することになっており、ライセンサーのアメリカの会社から、新契約を提示してきた。60頁もある英文契約であり、その中には、奴隷労働の禁止、贈収賄禁止等、アメリカ法の厳しい規定が盛り込まれていた。
また、ライセンス契約には、最低限の売上を保証する条項が含まれており、ライセンサーに一方的に有利なものだった。
クライアントは、青山東京法律事務所に相談し、ライセンサーとの交渉を任せた。弁護士は、契約書を隅々まで検討し、クライアントにとってのリスクをすべて洗い出した上、クライアントとの協議を重ね、どうしても譲れないと判断したところについて、契約書を修正し、ライセンサーに提示した。その修正要望は、ライセンサーに受け入れられ、調印に至った。
②製造業の解決事例2-特許権侵害訴訟
クライアントはバッグを製造販売する会社であったが、機能性で差別化を図っており、ある機能を特許登録した。ところが、競合メーカーが、特許登録した機能に酷似した機能を持つ製品を販売し始めた。競合メーカーは販売力に優れ、クライアントの担当者は、今のうちに競合メーカーの動きを止めないと市場で負けてしまうのではないかと不安を感じ、青山東京事務所の弁護士に相談にやってきた。
弁護士が、これまでの経緯を聴取したところ、特許登録をしてもらった弁理士から、既に2度警告書を送ったが、競合メーカーはこれに取り合わず、むしろクライアントの特許が無効ではないかと回答してきたということであった。
弁護士は、この弁理士に特許侵害である旨を書いた意見書の作成を依頼し、それを元に競合メーカーの販売差止の仮処分を提起した。その後、相手方と和解に至り、相手方は機能を変更した。
③製造業の解決事例3-ユニオンとの交渉
クライアントは金属加工業の会社で100名程の従業員を工場に抱えていた。会社の中で社長と常務の内紛があり、常務が勝ち、社長が追い出された。社長は、子飼いの従業員20名程に会社の中で抵抗を続けるように命令し、彼らは社長室に討ち入る、金庫を開けて印鑑を持ち出す等の暴動を引き起こした。
新たに社長に就任した常務は、社内抗争が続くと、他の従業員への影響が大きくなるので、暴動を起こした20名を懲戒解雇にしたところ、彼らは地元のユニオンに駆け込み、集団で会社に対して、職場への復帰を求めてきた。常務が青山東京法律事務所の弁護士に依頼してきたことから、弁護士はユニオンとの交渉を行うことになった。
弁護士は、暴動という事実があり、それがビデオに録画されていること、また、暴動を起こした結果、他の従業員も20名の復帰を望んでいないことを説明し、ユニオンに退職を前提とした条件を考えるように伝えた。ユニオンは当初1年分もの退職金を支払うように提案してきたが、懲戒解雇から会社都合退職に切り替え、また、中退共の退職金も受け取れるように手配をすることを逆提案した結果、約6か月分の退職金を上乗せすることで決着した。
④製造業の解決事例4-問題社員対応
ある部品製造業の会社のある製品の製造グループで、検査偽装が行われていた。グループに属する4名の社員のうちのリーダー格の者の指示のもと、全員が示し合わせて、出荷前の品質検査において合格値が出ない(ある特定の箇所で測定することになっていた)と、別の箇所を図り直して、そこで合格値が出れば、それで合格したこととする対応が行われていた。
社長は、すぐに取引先の会社に報告し、頭を下げて誠心誠意謝罪して、今後の対応策を提示したことから、取引先の理解を得た。
社長は、グループの従業員に対する対応について、当事務所の弁護士に相談した。弁護士は、懲戒処分の問題となるが、それには十分な証拠収集が必要となるので、慎重に対応する必要があることを伝えた。
そして、グループのメンバーからヒアリングを行い、このミスが故意のものか、過失によるものかを見極めるようにアドバイスした。その上で、彼らが認めて反省するなら、軽い懲戒処分で済ませたらどうか、ただし、先々トラブルが大きくなることを想定すると、彼らに偽装の経緯をまとめた文書を作成し、提出させた方がよいであろうと伝えた。
社長は、製造グループのリーダーを呼び出し問いただすと、リーダー格の男は、自分たちのグループの作業ミスが多いと思われるのが嫌で、3年前から仲間で示し合わせて偽装を繰り返してきたという。本人も深く反省しているというので、罪を認め事の経緯を書いた文書を提出するなら、今回は軽い処分で留める旨を約束した。
懲罰委員会は、その後グループ全員に3ケ月の減給処分をすることを決めた。ところが、リーダー格の男とその他2名は居心地が悪かったのか、依願退職を申し出てきた。残された1名だけは「自分は悪くない」と言って一向に取り合おうとしない。それどころか、この1名の従業員は、同じ仕事で再び検査偽装に手を染めたのである。
そこで、社長は、再び弁護士に相談し、この時点で懲戒解雇は可能であるかどうかを尋ねた。弁護士は、彼が故意の検査偽装に携わっていたことが明らかであるので、懲罰委員会を開き、懲戒解雇を言い渡すことは可能であるとアドバイスした。