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Ⅰ 契約書の重要性と注意点
日本の会社では、契約書の重要性の認識が甘いという印象を受けています。いまだに、中小企業の間では、口約束で契約を成立させる場合も多く、後日トラブルになると、どういう契約内容であったか、各当事者の理解が違っていたという場合が見られます。こうした事態を避けるために、契約書にまとめ、双方が署名押印しておくべきなのですが、その確認作業に対する認識も大変甘いものになっています。ですので、時には、当事者が契約書を読んでいない、具体的に相手に何を依頼し、こちらがどういう義務を負っているかがわからないというケースも見られます。
目次
Ⅰ 口頭の契約ではダメ
中小企業間の取引は、信頼関係をベースに仕事を行うことが多いと思います。その結果、ちゃんとした契約書を締結せずに、注文書・請書ベースで取引が進められています。口約束だけで、なんとなく取引が進められているという場合も、実際には多いはずです。
こうした取引形態でも、トラブルが起こりさえしなければ、何の問題もありません。ところが、トラブルが発生すると、お互いの契約でどのように定めていたのかが、問われることになります。
例えば、商品のグレードがAランクのはずが、Bランクの商品が納入されたので、契約を解除したい、納入期限が3月末日であったのに、それに遅れたので、契約を解除した、支払期限が5月末日であったのに、6月末日まで遅れたから、遅延損害金を請求したいなどと言うことが起こるのです。
この時、問題になるのは、当初の契約がどうなっていたのかです。商品のグレードは明確に定められていたのか、納入期限は決まっていたのか、遅延損害金は民法上の3%ではなく、もっと高い利率に決まっていたのか、という点です。
口約束では、これを証明することはできない(録音でもしていない限り)ので、相手が否定する限り、裁判所で勝訴することは難しくなります。したがって、自分の権利を守るためにも、ちゃんと契約書を交わし、契約条件を明らかにしておくことが大切になります。
Ⅱ 頻繁に取引する相手方とは基本契約と個別契約の締結、電子契約の利用も選択肢
頻繁に取引をする相手であれば、基本契約を交わし、個々の取引は注文書と請書で処理するようにするべきですし、一回切りの取引であるときは、取引条件を明確に定めた契約書と締結するべきです。
最近は、電子契約もかなり広まってきましたので、文書の郵送ベースでのやり取りが面倒くさい、時間がかかるという場合には、積極的に電子契約を使っていくべきでしょう。
ただ、中小企業の中には電子契約に対応できないところもありますので、紙ベースの契約書も締結できないという場合には、電子メールでもラインでも書いたものがあればいいので、何らかの証拠を残しておくべきです。
この場合、相手方の書いた電子メールかラインが必要で、こちらから一方的に送り付けたものでは証拠とならないことに注意してください。
Ⅲ 契約書・定款・就業規則についての相談は青山東京法律事務所へ
青山東京法律事務所では、多くの顧問先を抱え、日常的に契約書のチェックを行っています。業務委託契約、売買契約、請負契約、雇用契約等、様々な種類の契約を拝見しています。
多くの契約はスタンダードなものですが、特殊な覚書を作成したい、合意書を作成したいという依頼を受けて、その事例に適する契約を作成することもあります。
こうして青山東京法律事務所では、契約書チェック、契約書作成の経験を積み上げていますので、皆様のニーズが的確に対応できると思います。
契約書について悩まれた時は、是非青山東京法律事務所へご相談ください。
監修者
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植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士
東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。
野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。
米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。
2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。