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知的財産権侵害の場合の対処法

知的財産権とは、人間の創造的活動により生み出される無形の財産権のことを言います。

発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物のほか、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの、営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報を含んでいます。

知的財産は、法律により保護されており、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、著作権法の知的財産六法が制定されています。

製造業においては、知的財産権を使って製品を生産販売している場合が多く、その知的財産権が差別化の軸となっている場合があります。思いがけず、自社が他社の知的財産権を侵害している場合もあれば、他社によって自社の大事な知的財産が侵害されている場合があります。それぞれの場合の対処法を見ていきましょう。

Ⅰ 自社の知的財産権が他社によって侵害されている場合

1 知的財産権侵害の調査

まず、本当に権利侵害が認められるかどうかを調査し、特許権などの権利侵害があるのかを確認します。必要ならば専門家の鑑定を受けましょう。

2 相手方への警告状の発送

権利侵害が認められれば、通常は、相手方に警告状を発します。警告状を発するのではなく、ライセンス収入を得ようと考えて、その交渉の申入れを行うというソフトな選択肢もあります。

3 相手方との交渉

相手方が交渉のテーブルに着いた場合、交渉を辛抱強く進めることになります。過去の侵害についてのライセンス料を支払ってもらい、将来の使用をやめさせる場合もあれば、将来にわたってラインセンス契約を交わす場合もあります。

4 訴えの提起

交渉による合意が難しい場合、権利侵害を理由に訴えを提起することになります。最終的に判決をもらう場合もありますが、多くの訴訟は途中で和解で解決することになります。

訴え提起となると、費用がかかる上に、解決までに最低でも6か月~1年程度の時間を世要することになりますので、できる限り交渉でまとめるのが望ましいと言えます。

Ⅱ 自社が他社の知的財産権を侵害している場合

自社が他社の知的財産権を、気がつかないうちに侵害していたという場合もあります。こうした場合には、ある日突然相手方から、警告状が届き、侵害の事実を知ることになります。そうした場合に、どのように対応したらいいのでしょうか。

1 知的財産権侵害の調査

まずは、相手方の知的財産権を侵害しているのか調査する必要があります。商標権の侵害、著作権の侵害、特許権の侵害等様々なケースが考えられますが、本当にその事実があるのかどうかを正確に把握しましょう。

その事実があった場合、侵害の程度が軽微なものであるのか、深刻なものであるのか、自社の社員に侵害の認識がなかったのかも調べておきましょう。

2 相手方の調査

次に、相手方の会社の素性を調べましょう。相手方が特許権だけを所有して損害賠償を狙う、いわゆるパテントトロールのような企業なのか、自社と同様の製品を取り扱っている競合会社なのかです。

パテントロールのような企業であると、法外な金額を吹っ掛けてきて、交渉が紛糾するケースが多いのに対し、普通に製品を製造販売している会社なら、合理的な解決が可能とするケースが多いので、相手方の素性を知っておくことが後の交渉に大きく影響してくるからです。

3 対応方針の決定

最後に、これらの調査結果を踏まえ、対応方法を決めることになります。相手方が競合会社で、業界団体での付き合いもあるようなところであれば、自社で直接交渉するのがよいでしょう。ただ、その交渉が暗礁に乗り上げた、又は、相手方がパテントロールのような会社であった場合には、弁護士を立てて交渉するのがよいでしょう。

Ⅲ 製造業の法律問題は青山東京法律事務所へ

日本の製造業は多数の法律問題に直面しています。仕入れた商品の品質の問題、顧客からのクレーム、顧客に対する債権の回収、問題社員の存在、退職した社員による営業秘密の持ち出し、競合会社による特許権の侵害等、数え上げたらきりがありまん。

どの問題も、まずは自社で解決しようと努力してみるべきですが、中には、問題がこじれて、自社では収拾不能になってしまう場合があります。

こうした時には、製造業をめぐる法律問題を多数取り扱ってきた青山東京法律事務所へ是非お問い合わせください。

監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

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