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Ⅸ 不動産競売の流れと手続きにかかる時間

1 不動産競売手続き全体の流れはどのようなもので、どれくらいの時間がかかるのか

不動産の競売とは、債務が弁済できなくなった債務者の不動産について、債権者の申立てにより、裁判所が差押えて売却し、債権を回収する手続をいいます。

以下のような流れで進み、全体として約10か月の期間がかかります。

2 各手続で何が行われるのか

(1)現況調査

競売開始決定が出ると最初に行われるのが現況調査です。

 

現況調査とは、競売対象の物件の下見・査定のことで、裁判所の執行官と不動産鑑定士が現地を訪問します。これにより不動産の価値や状況を調べ、競売の売却基準価格の決定や、資料の公開に必要な情報を収集します。

 

現況調査を行うために所有者の同意は必要ないため、所有者がこれを拒むことはできず、所有者が立ち入りを拒否しても、執行官は鍵を壊して建物の中に入ることも認められています。

 

調査結果は「現況調査報告書」としてまとめられ、外部にも公開されます。当事者や利害関係人であれば売却基準価額決定後、それ以外の人は公告日以降に閲覧可能となります。

 

現況調査報告書には、主に権利関係や占有者の氏名などの占有状況、土地の現況地目、建物の種類・構造などが記載されているほか、不動産の写真も掲載されます。

 

(2)期間入札通知

現況調査の結果を受け、競売の入札期間が決定されます。

 

期間入札通知の到着から数週間~1か月程度で、期間入札の公告が行われます。

(3)物件一般公開

対象の物件を競売で売却する旨とその情報を外部に公開することにより、一般の人の中から広く購入希望者を募ることになります。

 

具体的には、裁判所に置かれている資料や専用のインターネットサイト(BIT)で、競売物件の情報が閲覧できるようになります。物件の情報は誰でも無料で閲覧できます。

(4)期間入札開始

入札期間になると、裁判所で入札が可能となります。入札期間はケースによって異なりますが、長い場合でも1か月程度となることが多いようです。

(5)開札

入札期間が終了すると、次に開札(結果発表)に移ります。開札の結果、最も高い金額で入札していた人が買受人となります。

(6)売却許可決定

買受人が決まると、裁判所の審査が行われ、その後、売却許可決定が出されます。売却が不許可となることはほとんどなく、その後、関係者からの不服申し立てがなければ、売却許可決定が確定となります。

(7)代金納付

売却許可決定が出された後、買受人が裁判所に代金を納付すると、その時点で所有権が移転して、不動産は買受人のものとなります。

(8)所有権移転と明け渡し

不動産の所有権が移転したら、以前の所有者は早々に不動産を明け渡さなければなりません。

3 競売手続きは複雑なものですので、早めに弁護士に相談を

以上が、大まかな競売手続きの流れですが、間違いなくこれを実行していくためには、様々な書類を準備し、裁判所からの問い合わせに的確に答え、遺漏なく手続きを進めていくことが必要です。

 

競売に慣れている方なら、自らできないこともないと思いますが、競売を始めて行うような方であれば、弁護士に任せた方が、迅速に間違いなく手続きが進められます。

 

青山東京法律事務所では、不動産競売手続きの経験を有していますので、何なりと気軽にご相談下さい。

監修者

植田統

植田 統

1981年、東京大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。
ダートマス大学MBAコース留学後、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルティングを担当。
野村アセットマネジメントで資産運用業務を経験し、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。
レクシスネクシス・ジャパン株式会社の社長を務め、経営計画立案・実行、人材マネジメント、取引先開拓を行う。
アリックスパートナーズでライブドア、JAL等の再生案件、一部上場企業の粉飾決算事件等を担当。
2010年弁護士登録後、南青山M's法律会計事務所に参画。2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論を講義。数社の社外取締役、監査役も務める。

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