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負債の相続

相続というと、積極財産(預金や不動産のようなプラスの財産)を引き継ぐものと考えてしまいます。ところが、亡くなられた方が、負債を負っているというケースもあり、その場合には、相続人はその負債も引き継ぐことになるのです。

負債の相続がどのように決まり、それに対する対策として、何をしなければならないかを見ていきましょう。

Ⅰ 負債は法定相続分に従って相続される

相続が開始されると,被相続人の一身に専属するものを除いて,被相続人が有していた一切の権利義務(相続財産)が相続人に承継されることになります。「一切の」と言っているのは、相続されるのはプラスの財産だけではなく、負債も一緒に受け継ぐことになるということです。

被相続人が借金を負っていた場合,被相続人が亡くなり相続が起こると,被相続人は、それぞれの法定相続分に応じて,遺産分割を経ることなく,当然に分割された債務を相続することになります。

たとえば,被相続人に1000万円の借金が残っており、妻と子2名で相続すれば、妻は500万円、子は250万円ずつの借金の支払義務を背負うことになります。

相続人の間で遺産分割協議をして、妻が多くのプラスの財産を譲り受ける代わりに、借金1000万円全額を負担すると決めても、債権者である銀行に対しては、何の効力もありません。銀行は、子に対して250万円ずつの請求をすることができるのです。

Ⅱ 負債の相続を避ける方法

では、子どもたちが借金を免れるためには、どうしたらいいのでしょうか。

被相続人の借金の貸し手の銀行と話し合いの場を持ち、債務を借り換えることができればいいのですが、それがうまくいかない場合には、相続放棄か限定承認をするしか方法がありません。

相続放棄は,プラスの財産も相続しないかわりに,マイナスの財産である借金・負債も相続しなくて済むという制度です。相続の開始を知った時から、3か月以内に裁判所へ相続放棄の申述書を提出する必要がありますので、急いで対応しなければなりません。

限定承認とは,プラスの財産の範囲内でのみ,マイナスの財産である借金・負債を相続するという制度です。しかし、マイナスの財産が他人の長期の借金の保証債務のように何年にもわたって確定しないものである場合(最後に返し終わるまで保証人に責任が問われるかわからない)には、何年も待たなければならないので、この制度は現実的には使いにくいものです。

このように被相続人の負債が法定相続分にしたがって自動的に相続人間に分割されるという点は、多くの人が正確には理解できていないところです。遺産分割協議で決めれば、その通りになると思っている人が多いのです。

自分が相続人になったときには、必ず被相続人に負債がなかったのかどうかをチェックする、負債があれば、その負債は、相続放棄をしない限り、自動的に相続人に分割して相続されていることを肝に銘じておくことが必要です。

Ⅲ 相続・遺産分割のご相談は青山東京法律事務所へ

相続・遺産分割は、一生で何度も経験するものではありません。そのため、多くの方が、どのように手続を進めたらいいのかで悩むことになります。

その上、最近では、兄弟間、親族間で遺産分割の仕方をめぐってトラブルになることも多く、すんなりと相続が終わるというケースは少なくなってきています。

青山東京法律事務所では、これまでに多数の相続・遺産分割事件を取り扱ってきており、どのように手続を進めれば、相続人の皆様の納得を得られるのか、また、運悪く争いになってしまった場合に、どのようにして迅速に解決に持っていけるのかについて、多くの知見を積み上げてきております。

代表の植田弁護士は、税理士資格も保有しており、相続税の対策についても、ご相談が可能な体制を整備しています。

相続・遺産分割でお悩みの方は、是非青山東京法律事務所にご相談下さい。

監修者

植田統

植田 統   弁護士(第一東京弁護士会)

東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士

東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。 野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。 米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。

2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。

現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。

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