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製造業の法律問題(Ⅴ)-知的財産権を侵害された場合の対処法
自社の知的財産が他人に侵害されていると思われる場合、どのような対応をするべきでしょうか。
① まず、本当に権利侵害が認められるかどうかを調査し、特許権などの権利侵害があるのかを確認します。必要ならば専門家の鑑定を受けましょう。
② 権利侵害が認められれば、通常は、相手方に警告状を発します。警告状を発するのではなく、ライセンス収入を得ようと考えて、その交渉の申入れを行うというソフトな選択肢もあります。
③ 相手方が交渉のテーブルに着いた場合、交渉を辛抱強く進めることになります。過去の侵害についてのライセンス料を支払ってもらい将来の使用をやめさせる場合もあれば、将来にわたってラインセンス契約を交わす場合もあります。
④ 交渉による合意が難しい場合、権利侵害を理由に訴えを提起することになります。最終的に判決をもらう場合もありますが、多くの訴訟は途中で和解で解決することになります。
訴え提起となると、費用がかかる上に、解決までに最低でも6か月~1年程度の時間を世要することになりますので、できる限り交渉でまとめるのが望ましいと言えます。
監修者
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植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士
東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。
野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。
米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。
2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。