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Ⅲ 企業間取引のルール(独禁法、下請法)-親事業者→下請事業者への支払遅延の禁止に違反した場合の制裁
支払い遅延に限らず、受領拒否の禁止、下請代金の減額の禁止、返品の禁止など下請法の他の禁止に反した場合でも同様ですが、次のような制裁がある。
目次
1 報告・立ち入り検査
公正取引委員会、中小企業庁などが、親事業者、下請事業者に対し、下請取引に関する報告を求め、立ち入り検査をすることができる。
2 勧告など
下請法に違反した親事業者に対し、違反行為の是正、その他必要な措置を取ることを勧告することができ、勧告した場合は、事業者名、違反事実の概要、勧告の概要などを公表することができる。
親事業者が勧告に従わない場合は、独占禁止法にもとづく排除措置命令や課徴金納付命令を行うことができる。
3 罰則
次の場合、法人に加えて、代表者・担当者個人も、50万円以下の罰金が科される。
ア 発注書面を交付しない。
イ 取引記録に関する書類を作成しない、あるいは保存しない。
ウ 報告を求められたのに、報告をしない、あるいは虚偽の報告をする。
エ 公正取引委員会や中小企業庁の立入検査を拒否、妨害する。
監修者
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植田 統 弁護士(第一東京弁護士会)
東京大学法学部卒業、ダートマス大学MBA、成蹊大学法務博士
東京銀行(現三菱UFJ銀行)で融資業務を担当。米国の経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルタント。
野村アセットマネジメントでは総合企画室にて、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。その後、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の日本支社長。
米国の事業再生コンサルティング会社であるアリックスパートナーズでは、ライブドア、JAL等の再生案件を担当。
2010年弁護士登録。南青山M's法律会計事務所を経て、2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論の講義を行う他、Jトラスト株式会社(東証スタンダード市場)等数社の監査役も務める。