不動産業の特徴は、以下の5点にあります。
- 取引金額が大きく、リスクが大きい。
- 用途地域の変更等、行政上の規制への対応をしなければならない場合がある。
- 相続登記が何代にもわたってなされていない等、権利関係の不明な土地、建物が多い。
- 複雑な権利関係を処理するために、土地家屋調査士、司法書士等と連携して、仕事を進めなければならない場合がある。
- 顧客にとっては大きな投資なので、細かいことについてもクレームをしてくる場合が多く、その処理が大きな負担となる。
そのため、顧問弁護士による専門的な法的アドバイスとサポートが不可欠となります。
目次
不動産業で顧問弁護士が必要になる場面
不動産業で顧問弁護士が必要となる場面は、大きく分けて以下の5つのケースが挙げられます。
- 不動産の売買、賃貸借における契約上の問題
- 不動産の権利関係の明確化
- 顧客からのクレーム処理
- 労働者の管理
- その他の法律相談
不動産の売買、賃貸借における契約上の問題
不動産の売買、賃貸借においては、宅地建物取引士が仲介するので、業界団体の作成した契約書が使用されています。したがって、これにちゃんと必要事項が記載され、その通り契約が履行されれば、問題は起こりません。問題が起きてくるのは、以下のような場合です。
不動産売買時の契約上のトラブル
不動産売買時に問題が生じるのは、当事者の勘違い、宅地建物取引士が土地、建物の現況調査をして記載することとなる事項に間違いがあった場合です。価格が当事者の錯誤により誤って記載されていたもの、土地の用途規制が間違っていたもの、井戸の埋め戻したことを買主の告知し忘れたもの等があります。
こうしたトラブルについては、代金の減額、損害賠償等の大きなリスクにつながりますから、早めに顧問弁護士に相談し、迅速かつ適切な解決を図ってもらうことがベストです。
賃料滞納への対応
入居者が家賃を何ヶ月も滞納している場合、どのようにしたらよいでしょうか。顧問弁護士に相談し、内容証明郵便を出し、賃料の支払いを催告してもらうことが第一ステップです。それでも、ダメな場合には、賃貸借契約解除や立ち退き訴訟の手続きを進めてもらうことになります。
賃料改定の対応
不動産価格の高騰や固定資産税の増額などがあった場合、貸主は賃料の増額を入居者に申し入れます。入居者は、負担が増すので、簡単には受け入れません。そこで、顧問弁護士に相談し、賃料改定にかかる通知作成や交渉をお願いします。それでも、埒が明かない場合には、借賃増額請求を裁判所に提起してもらいます。
悪質な入居者やテナントへの対応
賃貸物件にはマナーを全く守らなかったり、近隣住民とトラブルを起こしたりする悪質な入居者やテナントがいるケースもあります。不動産管理会社やオーナーからすれば、退去交渉に繋げたいと考えるでしょう。このケースにおいても、顧問弁護士がいると解決に繋がりやすくなります。
漏水事故や天災による破損の対応
賃貸物件は、漏水事故や天災などの原因で破損する場合もあります。原因を突き止める際に、物件と入居者のどちらに問題があったのかを判断するのが難しいケースもあります。顧問弁護士に相談すれば、過失の割合や修繕義務に関する法的なアドバイスを貰えます。
不動産の権利関係の明確化
相続登記が何代にもわたって行われていない土地、親族間で貸し借りを行ったため、賃貸借なのか使用貸借なのかわからない不動産等、権利関係の明確でない不動産が存在しています。
相続の場合であれば、顧問弁護士に相談し、過去の戸籍の調査を行ってもらい、現在の権利者を割り出してもらいます。親族間の貸し借りであれば、顧問弁護士の調査を依頼し、当事者のヒアリング、証拠の収集により、権利関係を確定してもらうのがよいでしょう。
顧客からのクレーム処理
不動産取引は、個人にとっては人生最大の投資です。そのため、建物の細かなキズ、自分のイメージと異なった仕上がり等について、事細かにクレームをつけてきます。そのため、販売した不動産会社が、クレーム処理に追われ、従業員が疲弊してしまうというケースが多く見られます。
こうした事態を避けるためにも、顧問弁護士に相談し、会社として対応すべきクレームか、断るべきクレームかを仕分けし、従業員に明確な指示を出すのがよいでしょう。それでも、聞く耳を持たない顧客に対しては、顧問弁護士に対応してもらうのがよいと思われます。
労働者の管理
これは不動産業界特有の問題というわけではありませんが、多くの従業員を抱える会社にとっては、労務管理の重要性が高まっています。
残業代未払いへの相談
従業員とのトラブルで考えられるのは、退職した人から残業代を請求されるケースです。この場合は相手も弁護士を雇っている場合もあり、対応に苦慮することになります。労働審判を提起されれば、解決まで6か月から1年の時間を要することになり、多額の出費を迫られることになります。
早めに顧問弁護士に相談し、弁護士同志または弁護士とユニオンとの話し合いで、双方にとって、それなりに満足のいく線での和解での解決を図ってもらうように心がけましょう
パワハラ、セクハラへの相談
会社が気を付けていても、従業員の間でパワハラやセクハラが問題になることもあります。ハラスメントは判断の難しいケースも多く、初動対応を誤ると問題を悪化させてしまいます。
対応を放置していれば、安全配慮義務違反で会社側も賠償責任を負いかねません。早期解決を目指すうえでも、調査の段階から顧問弁護士に相談し、迅速かつ適切な解決を図っていくのが賢明です。
問題従業員への対応
顧問弁護士がいれば、問題社員への相談もしやすくなります。従業員の仕事に対する態度が悪ければ、オーナーや入居者などさまざまな立場の人とトラブルを生みかねません。大きな問題に発展する前に、顧問弁護士と話し合って指導や解雇に関するアドバイスをもらうとよいでしょう。
その他の法律相談
昨今重要となってきているのが、インターネット上での誹謗中傷等、会社の名誉を傷つける行為への対応です。
インターネット上の誹謗中傷、風評被害に対する対応
インターネットで、過去の顧客や取引先から、匿名で誹謗中傷されるケースがあります。虚偽の内容であるとしても、会社のイメージに対するダメージには、大きなものがあります。
顧問弁護士に相談し、削除請求等の手続き、損害賠償の手続き等を迅速に取っていくことが必要です。
従業員向け社内研修の開催
法律上のトラブルを避けるには、従業員が法的リテラシーを高めなければなりません。会社で定期的に従業員向けの社内研修を開催し、法律上の知識を身に付ける機会を設けましょう。顧問弁護士と契約していれば、こうした研修会の開催をサポートしてもらえます。
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青山東京法律事務所の強み
青山東京法律事務所の強みは、金融、コンサルティング、総合商社等、人生経験の豊富な弁護士が在籍していることです。弁護士は合計で3名在籍していますが、全員が弁護士以外の仕事を経験しており、幅広い分野で活躍した経験があります。
代表の植田弁護士は、不動産会社の顧問先を抱え、不動産会社内で起こる多様な法律問題の解決に取り組んでいます。単にアドバイスにとどまる場合もあれば、相手方との交渉を行うもの、訴訟を提起するもの等、提供するサービスの内容も様々です。
青山東京法律事務所は、不動産業に関連するどんな法律問題についても、適切な対応をしていくことができます
不動産業の解決事例
青山東京法律事務所が対応してきた案件は以下になります。
- ①不動産業の解決事例1:売買契約の有効性
- ②不動産業の解決事例2:使用貸借契約終了による建物収去土地明渡請求
- ③不動産業の解決事例3:賃料不払いによる賃貸借契約解除と立ち退き請求
- ④不動産業の解決事例4:立ち退きを受けた者を代理しての立ち退き料交渉
- ⑤不動産業の解決事例5-買い残した筆の不動産強制競売による取得
①不動産業の解決事例1-売買契約の有効性
クライアントは不動産業を営む会社です。都心部の地主が死亡したことを知り、その相続人に売ってくれないかと声をかけたところ、相続税納税のために3カ月以内に現金化したいから、価格を提示してくれと言われました。
その土地の上には老朽化したビルがたっており、再開発をするためには、テナントを立ち退かせなければならず、その立退料の支払い負担と立退までにかかる時間を考慮すると、あまり高い価格で買い取ることはできないと判断し、相続税評価額相当の価格をオファーしました。すると、相続人は承諾してきたので、売買契約書を交わし、2ケ月後に決済をすることで合意しました。
その後1か月たった頃、相続人からこの土地の時価は、相続税評価額の4倍をすることを知らずに契約してしまったので、錯誤に基づいて取消をしたいと言ってきました。クライアントは、相続人に対して、もう売買契約が成立しているので、それは受けられないと言っても相続人はガンとして譲りませんでした。そこで、当事務所の弁護士に相続人との交渉を依頼して来ました。
弁護士は、相続人に対して、内容証明郵便を送り、立ち退きに要する時間とコストから売買金額は不当なものと考えられないこと、取引の経緯から見ても相続人の側には錯誤が存在しないことを丁寧に説明しました。同時に円満解決のため、代金の20%上乗せはできることを伝えると、相続人側も理解を示し、売買契約の売買代金だけ変更することで合意が成立しました。
②不動産業の解決事例2-使用貸借契約終了による建物収去土地明渡請求
クライアントは地方都市の駅前で、3代にわたって貸しビル業を展開する者でした。初代には、長男(クライアントの父)、次男、三男の3名の子がいましたが、自分の財産の大半は長男に相続させたいと考え、次男、三男は養子に出していました。その後、初代が亡くなりましたが、遺言書はありませんでした。3名の法定相続分は同じでしたが、初代の意思は次男、三男にも伝わっていたので、長男が財産の3分の2を相続し、次男、三男は6分の1ずつということで決着しました。
しかし、次男は初代の生前の今から35年前に、初代の所有する好立地の駅前の土地に10階建てのビルを建て、賃貸経営をしていました。その賃料は年間1億にものぼっていましたが、次男は地代も支払わず、固定資産税のみ負担していました。もちろん、賃借権を成立させるための権利金の支払いもありませんでした。
3年前にクライアントの父(初代の長男)が亡くなりました。その父は妻とは離婚済みであり、一人息子(クライアント)しかいなかったので、クライアントがすべてを相続することになりました。次男がビル経営をする土地もクライアントの所有となったのです。
クライアントは、叔父である次男とは反りが合わず、次男から土地を返してもらいたいと思っていました。そこで、クライアントは、叔父である次男に地代を時価の水準に変更して支払うか、出ていくように交渉を始めました。叔父である次男は、クライアントの言う事を無視し、交渉は決裂しましたが、ある日、固定資産税の3倍程度の地代を過去にさかのぼって供託してきました。
クライアントは、青山東京法律事務所の弁護士にどのように対応するべきか相談をしてきました。弁護士は、権利金の支払いがないこと、固定資産税しか負担していないことから、賃貸借の成立は認められず、使用貸借と認定されるであろうとアドバイスしました。ただ、賃料の供託がされてしまったので賃貸借契約が成立していると判断される可能性はあることも伝えました。
クライアントは、35年の経過によって使用貸借が終了したとして、退去を請求する訴訟を起こしてほしいと、青山東京法律事務所の弁護士に依頼してきましたので、弁護士は、35年の期間の経過による使用貸借の終了を理由として、建物収去土地明渡請求訴訟を提起しました。訴訟では、供託が有効か否か、それによって賃貸借が成立しているのか否かが争点となりましたが、裁判所は、親族間の争いであることもあり、和解を勧めてきました。
弁護士は、仮に賃貸借と認定された場合、旧借地法の堅固建物の借地となってしまうので、当初60年、その後の更新は30年となってしまい、クライアントの生きている間に土地が戻ってこない可能性が高いので、ビルを買い取ることになっても和解した方が得であることを説明し、和解することを勧めました。クライアントも納得し、ビルの買取価格でも相手と合意することができたので、和解が成立しました。
③不動産業の解決事例3-賃料不払いによる賃貸借契約解除と立ち退き請求
クライアントは、父が亡くなり、父の故郷の地方都市の賃貸住宅を相続した。そこには、30年前から同じ賃借人が居住していましたが、3年程前から、賃料が滞りがちになり、既に2年分の賃料の滞納となっていました。
クライアントは、青山東京法律事務所の弁護士に依頼し、賃借人との交渉を依頼しました。弁護士は、賃借人に契約を解除するので、速やかに立ち退くように内容証明郵便を送りましたが、賃借人はコロナの影響で自分の仕事がうまく行かなくなったのでしばらく待ってほしい、また、雨漏りがするので修繕しろと言って、賃料を支払おうとしませんでした。
そこで、弁護士はやむを得ず立ち退き訴訟を提起し、勝訴判決を得ました。賃借人もさすがに観念したのか、強制執行を受ける前に、自ら立ち退くことを申し出てきたので、ようやくクライアントのもとに住宅が戻って来ました。
④不動産業の解決事例4-立ち退きを受けた者を代理しての立ち退き料交渉
クライアントは、会社経営を行い、都内の一等地のビルに10坪に満たない小さなオフィスを賃借していました。周りのテナントが退去していきましたが、クライアントはその場所に愛着を持ち、また、賃料が安かったことから、そこから立ち退きたくなかったのです。
特に、コロナの影響でビジネスの売上が細ってきたことから、他のビルに移り、高い賃料を毎月負担していくことはとても無理であると判断していました。従って、立ち退きをOKするとしても、できるだけ多額の立退料を得たいと考えていました。
そこで、クライアントは、青山東京法律事務所の弁護士に立退料の交渉を依頼してきました。弁護士は、クライアントの事情を理解し、それをデベロッパーに十分に説明した結果、デベロッパーも理解を持ち、移転先の敷金と1年分の賃料をカバーできる金額の立退料を提供してくれると申し入れてきたので、和解が成立しました。
⑤不動産業の解決事例5-買い残した筆の不動産強制競売による取得
ある不動産業者は、一戸建ての建売販売用の土地として、土地を購入したところ、その土地の中の一筆だけ購入することができませんでした。非常に狭く、他に使い道のない土地でしたので、ある程度の価格をつければ、所有者が売却してくれるものと思っていましたが、その所有者は意固地な人で、まったく売ってくれません。その上、不動産業者の購入した土地の上に、車を放置し、開発ができないように邪魔をしていました。
そこで、不動産業者は、青山東京法律事務所に依頼し、所有権に基づく妨害排除請求訴訟を提起し、勝訴判決を得ました。この判決では、妨害排除請求だけでなく、妨害をしていた期間の賃料相当損害金請求も認められました。
青山東京法律事務所では、この損害金の支払いがないことを理由として、一筆の土地の不動産強制競売を申し立てました。不動産業者が、その土地を落札することができれば、一帯の土地の所有権を得ることができ、開発が可能となる見込みです。
不動産業における顧問弁護士のサポート内容
不動産業において、一般的に顧問弁護士がサポートできる内容は以下のとおりです。
- 契約書の作成および診断
- 売買に絡む紛争への対応
- 賃貸借に関わる紛争への対応
- 従業員とのトラブル対応
- その他法律問題への対応
それぞれの業務内容について解説しましょう。
契約書の作成及び診断
不動産の契約書は複雑であり、少しでも不備があると取引で多大な損害を及ぼすリスクが高まります。宅地建物取引士が特記事項として記載すべき項目についても、慎重なチェックが必要です。こうした契約書の重要性に鑑み、顧問先から依頼のあった契約書のレビューについては、できる限り迅速に回答をするように努めています。
売買に絡む紛争への対応
不動産売買を巡って売主、買主間で生じるトラブルの種類としては、代金に関するもの、契約不適合(瑕疵担保)責任に関するもの、境界の確定に関するもの等、種々のものがあります。
どれも多額の金銭に関わる大きな問題ですので、青山東京法律事務所では、迅速な対応と売主・買主双方にとって公平な解決を目指して、適切なアドバイスを行うよう努めています。
賃貸借をめぐる紛争への対応
賃料の不払い、賃貸借契約の解除、損害賠償請求等、多様な紛争の形態があります。また、貸し借りの関係が、賃貸借なのか使用貸借なのかが明らかでないという場合もあります。
青山東京法律事務所は、紛争の迅速かつ適切な解決を目指して、クライアントのニーズに合ったアドバイスを提供していきます。
従業員とのトラブルへの対応
不動産業者の中で、従業員とのトラブルが起こる場合もあります。セクハラ・パワハラの問題、問題社員の処遇の問題、パフォーマンスの悪い従業員の降格・解雇等の問題です。
どれも難しい問題で、初動対応を間違えると、弁護士を立ててこられたり、ユニオンに駆け込まれたりして、問題の解決が難しくなってしまいます。
できるだけ早く、顧問弁護士のアドバイスを仰ぎ、従業員との穏便な解決を図ることが必要です。
その他法律問題への対応
不動産業を経営していく過程では、顧客からのインターネットの書き込み、退職した従業員による会社に対する批判的記事の投稿、退職した社員による営業秘密の持ち出し等など、実に多様な法律問題が生じます。
経験豊富な顧問弁護士を採用すれば、どんな問題についても適切なアドバイスを得ることができます。
顧問弁護士の料金プラン
青山東京法律事務所では、顧問弁護士の依頼において3つの料金プランを設定しています。
コース | 対応業務 | 執務時間 |
---|---|---|
5万円コース | ・簡単な契約書のレビュー(2本) ・電話やメール相談(上限2本) | 2時間 |
10万円コース | ・簡単な契約書のレビュー(4本) ・電話やメール相談(2〜4本) | 4時間 |
20万円コース | ・簡単な契約書のレビュー(8本) ・電話やメール相談(4〜8本) | 8時間 |
それぞれのプランの内容を説明しましょう。
5万円コース
最も安価なプランが5万円コースです。自社で法律問題が生じることは、ほとんどないが、安心のために、顧問弁護士をお願いしておきたいという会社向けのサービスです。執務時間は短時間となりますが、契約書のレビューや電話・メール相談に対応します。また着手金の割引は10%で設定しています。
10万円コース
10万円コースでは、契約書のレビューや電話・メール相談の上限がそれぞれ増加します。青山東京法律事務所の標準的な顧問契約で、多くの会社がこのコースを利用しています。着手金の割引は20%、お問い合わせに対する対応は3営業日以内に行います。
20万円コース
20万円コースは、顧客や取引先との法律問題や労務問題が頻繁に起こる会社向けのサービスです。お問い合わせに対する対応は2営業日以内、着手金の割引は30%となります。