債務を返済できなくなった場合、まずが任意整理を考えます。しかし、任意整理は債権者全員から賛成してもらわないと成立しないので、債権者の数が多い場合などは、簡単にはいきません。そこで、法的手続を選択していくことになります。債務者が何とか自宅を守りたいと考えていれば、個人民事再生を試みます。その場合は、住宅ローン会社に借入期間の延長を申し入れることになります。こうした返済余力がないという場合には、破産を選択します。個人の方は、破産をすると大きな不利益を受けるのではないかと恐れますが、官報に破産開始決定が載るぐらいで、他の公的書類に破産した事実が記載されるわけでもないので、隠密裏に手続きを進めることができ、破産をすることで受ける不利益はほとんどありません。債務の返済義務を免れるメリットの方が大きいものと思います。

①債務整理・破産の解決事例1:任意整理
②債務整理・破産の解決事例2:個人民事再生
③債務整理・破産の解決事例3:破産

①債務整理・破産の解決事例1:任意整理

クライアントは、以前はコンサルティング会社に勤め、中小企業に対する経営コンサルティングをしていたが、自分ひとりでやっても顧客を取ることができるはずだと思い、脱 サラをしてコンサルティング事業を立ち上げた。ところが、独立してみると、全く顧客は取れず、自分で借りた事務所の家賃、自分と家族の生活費を賄うため、カードローンを使うようになった。それが、2年も続いたため、借入残高は800万円にも及ぶようになり、その一方で自分のコンサルティングビジネスの売上は年間300万円しかなく返済は不可能となった。

そこで、当事務所の弁護士を尋ね、債務整理の方法を一通り聞いた上で、まず任意整理を行ってみることを決め、弁護士に依頼した。弁護士が借入先を調べてみると、カード会社3社で、それぞれ300万、300万、200万の残高である。一方で、収入が300万円しかないことから、弁護士はクライアントに対して破産も進めたが、クライアントは、自営をあきらめ、コンサルティング会社に就職することにしたので、来月から年収が600万円になるから、800万円の借金を500万円に減免してもらえれば、5年程度で返済も可能であると言ってきた。

そこで、弁護士はカード会社3社に上記の提案を出したところ、3社から同意を得ることができたので、借入総額については300万円の減免を受けて500万円に減縮し、5年間均等分割で返済することで合意した。

②債務整理・破産の解決事例2:個人民事再生

クライアントは地方都市の会社に勤めていたが、会社が倒産し、職を失った。住宅ローンが3000万円残っており、その返済に窮することになったが、子供は近所の学校に通っており、また、本人も購入して戸建ての家を非常に気に入っていたので、何としても自宅を死守したいと考えていた。

また、クライアントは1年程失職していたので、その間の生活費に充てるためにカードローンを300万円借り入れていた。最近新しい会社への採用が決まり、再び安定したサラリーマン生活に戻れることが保証されてはいましたが、新しい会社の給与は前職から2割減となってしまったので、これまでと同額の住宅ローン返済に加えてカードローンの返済をすることはもはや不可能となっていました。

そこで、クライアントは当事務所の弁護士を尋ね、カードローンと住宅ローンの返済負担を軽減する方法を聞いたところ、弁護士は個人再生の住宅資金特別条項を利用することができる旨を伝えると、クライアントは弁護士に民事再生の手続きを依頼しました。

弁護士は、カードローンについては50%の元本カットと2年間の分割返済、住宅ローンについては、期限の15年延長の条件を提示したところ、債権者の賛成を得ることができ、クライアントの毎月の返済負担は3割減額となり、新しい会社の給与でも何とか返済を行っていくことができるようになった。

③債務整理・破産の解決事例3:破産

クライアントは、オンライン占い詐欺に引っかかり、コンビニでプリカを購入して、そのIDを連絡する方法で鑑定料を送金していました。気づいた時には、その購入金額が200万円を超え、クライアントの月額の手取りが20万円を切る給与では、返済できない状態となっていました。そこで、クライアントは当事務所の弁護士に債務を帳消しにする方法について相談に来ました。

弁護士は、詐欺サイトに返金を求める方法もあるが、現実に返金がされることはほとんどないので、破産をしたらどうかと勧めました。クライアントは、破産という言葉にネガティブなイメージを抱いており、抵抗しましたが、借金が0となること、また、破産をしても周囲の人が知ることはまずないことを聞いて納得し、破産申立てを行いました。

個人破産で債務金額も大きくないことから、申立てと同時に破産手続を終了させる同時廃止となり、その後、クライアントの債務の支払い義務を免除するかについての免責審尋が行われた後、免責許可決定が出て、すべての手続きが終了しました。これによって、クライアントは200万円の債務を完全に免れることができました。