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契約書・定款・就業規則-業務委託契約書のチェックポイント

業務委託契約には、様々なものがありますが、ここではコンサルティング業務を委託した例を見ながら、解説していきたいと思います。※でコメントを入れていきます。

 

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第1条(契約の目的)

甲は乙に甲に対するコンサルティング業務を委託し、乙はこれを受託する。

 

※契約の目的を定めています。

 

 

第2条(委託業務の内容)

本契約において、乙が甲に対して提供する業務(以下、「委託業務」という)は次の通りとする。

(1)甲の●●事業に関する経営戦略に関する助言

(2)甲の●●事業に関するマーケティングプランの企画

(3)甲の●●事業に関する…

(4)その他上記に付随する業務

 

※委託業務の内容を詳細に定めます。

 

 

第3条(委託業務の遂行方法)

1 乙は委託業務を●●に担当させ、それ以外の者に担当させない。

2 乙は毎月1回、●●に甲を訪問させ、業務の進捗、方針に関するミーティングを行う。

3 乙は毎月末日までに、委託業務の進捗、成果について記載したレポートを作成し、甲に提出する。

 

※委託業務の進め方を規定します。本契約では担当者、ミーティングの回数、レポートの提出を決めています。

 

 

第4条(再委託)

乙は委託業務を第三者に再委託しない。

 

※再委託、つまり、他の人にやらせることを禁止しています。

 

 

第5条(契約期間)

1 本契約の有効期限は本契約締結日より1年間とする。但し、契約期間満了の1か月前までに甲乙双方特段の申し出がなければ、自動的に1年間延長されるものとし、以降も同様とする。

2 甲及び乙は、前項の契約期間中であっても1か月前に相手方に通知することにより本契約をいつでも解約できるものとし、相手方は解約による損害の賠償を求めることはできないものとする。

3 第9条、第10条及び第13条は本契約終了後も効力を有する。

 

※契約期間を定めています。いわゆる自動更新条項となっていますので、不要となった時は契約終了前1か月前までに通知するのを忘れないようにしてください。ただし、2項で契約期間中でも1か月前に相手方に通告することで解約できることとしています。3項は、秘密保持等の規定が契約終了後も存続することを定めたものです。

 

 

第6条(報酬と報酬の支払時期)

1 甲が乙に支払う報酬は、月額●●万円(税別)とする。乙は、当月分の報酬を甲に請求し、甲は、請求対象月の翌月末日までに、乙の指定する金融機関口座に支払うものとする。

2 報酬の支払に必要な振込手数料は、甲の負担とする。

 

※報酬の金額を明確に定めています。税別、税込みの表示があるかどうかには注意してください。

 

 

第7条(知的財産の帰属)

委託業務の過程で作成された著作物の著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)、及び委託業務の過程で生じた発明その他の知的財産又はノウハウ等に係る知的財産権は、全て甲に帰属するものとする。

 

※コンサルティングの過程で作成された著作物等の著作権が、発注者に帰属することを定めています。

 

 

第8条(禁止行為)

乙は、甲の事前の許可を得ないで、甲の同業他社の●●事業についてのコンサルティング業務を行ってはならない。

 

※発注者としては、このコンサルティングで得た知見を使って、同業他社にコンサルティングを行われると困るので、それを禁じたものです。

 

 

第9条(秘密保持)

1 本契約において、「機密情報」とは、甲および乙は、本契約に関連して知りえた相手方の技術上・経営上の一切の秘密、及び甲乙間の取引内容に関する情報をいう。ただし、以下のものはこの限りでない。

(1)相手方から知得する以前にすでに所有していたもの

(2)相手方から知得する以前にすでに公知のもの

(3)相手方から知得した後に、自己の責によらない事由により公知とされたもの

(4)正当な権限を有する第三者から秘密保持の義務をともなわずに知得したもの

2 甲及び乙は相手方より受領した機密情報を厳に秘密として保持し、善良なる管理者の注意をもって管理・保管するものとする。

4 甲及び乙は、本件取引の遂行以外のいかなる目的のためにも機密情報を利用してはならない。

5 甲及び乙が、法令、官公庁又は裁判所の処分・命令等により機密情報の開示要求を受けた場合、当該開示要求に対し、必要最小限の範囲及び目的に限り、機密情報を開示することができるものとする。この場合、できる限り早い時期に相手方に対して当該開示について通知するものとする。

 

※機密情報の保持を定めた規定です。実際の運用が緩くなっている例が見受けられますが、本条項の違反となるので注意してください。

 

 

第10条(損害賠償)

甲又は乙が自社の責めに帰すべき事由により相手方に損害を与えたときは、すみやかにその損害を賠償しなければならない。ただし、その金額は甲から乙に支払われる1年分の報酬を超えないものとする。

 

※相手方に損害を与えた場合の損害賠償責任を定めたものですが、但し書きでその上限額を定めています。

 

 

第11条(契約の解除)

1 甲または乙は、他の当事者が次の各号の1つに該当したときは、催告なしに直ちに、本契約の全部または一部を解除することが出来る。

(1)本契約に違反し、相当の期間を定めて相手方に対して、その是正を求めたにも関わらず、相手方がその違反を是正しないとき

(2)相手方の信用、名誉または相互の信頼関係を傷つける行為をしたとき

(3)破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、その他倒産手続開始の申立があったとき

(4)差押え、仮差押え、仮処分、競売の申立、租税滞納処分その他これに準ずる手続があったとき

(5)支払停止もしくは支払不能に陥ったとき、または、手形または小切手が不渡りとなり、手形交換所より銀行取引停止処分を受けたとき

(6)合併、解散、清算、事業の全部もしくはその他重要な事業の一部を第三者へ譲渡し、またはしようとしたとき

(7)その他前各号に類する事情が存するとき

2 前項に基づく解除は、相手方に対する損害賠償請求を妨げない。

 

※本契約を無催告で解除することができる場合を定めています。1項の(1)が最も重要です。是正を求められた場合には、速やかに対応するようにしてください。

 

 

第12条(反社会的勢力の排除)

1 甲および乙は、それぞれ相手方に対し、次の事項を確約する。

(1)自らが、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋その他の反社会的勢力(以下、まとめて「反社会的勢力」という)ではないこと

(2)自らの役員が反社会的勢力ではないこと

(3)反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと

(4)反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていないこと

(5)反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しないこと

(6)この契約に関して、自らまたは第三者を利用して、次の行為をしないこと ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為 イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為

2 甲および乙は、相手方が次の各号の一に該当する場合、何らの催告を要さずに、本契約を解除することができる。

(1)前項(1)ないし(5)の確約に反することが判明した場合

(2)前項(6)の確約に反する行為をした場合

3 前項の規定により、本契約を解除した場合には、相手方に損害が生じても解除者は何らこれを賠償ないし補償することは要せず、また、かかる解除により解除者に損害が生じたときは、相手方はその損害を賠償するものとする。

 

※反社の一般的条項です。

 

 

第13条(合意管轄)

甲および乙は、本契約に関して紛争が生じた場合には、甲の本店所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

 

※発注者の本店所在地の管轄裁判所を合意管轄とすると定めています。コンサルティング契約の発注者の側に有利に定められるのはやむを得ないところです。

 

 

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以上のように多数の項目が定められていますが、契約によって変わってくるのは、第2条(委託業務の内容)、第3条(委託業務の遂行方法)、第5条(契約期間)、第6条(報酬と報酬の支払時期)であり、それ以外は定型的なものです。

監修者

植田統

植田 統

1981年、東京大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。
ダートマス大学MBAコース留学後、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンで経営戦略コンサルティングを担当。
野村アセットマネジメントで資産運用業務を経験し、投資信託協会で専門委員会委員長を歴任。
レクシスネクシス・ジャパン株式会社の社長を務め、経営計画立案・実行、人材マネジメント、取引先開拓を行う。
アリックスパートナーズでライブドア、JAL等の再生案件、一部上場企業の粉飾決算事件等を担当。
2010年弁護士登録後、南青山M's法律会計事務所に参画。2014年に青山東京法律事務所を開設。2018年、税理士登録。
現在、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論を講義。数社の社外取締役、監査役も務める。

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