製造業の特徴は、取引先、下請、労働者との関係において、以下の5つの特徴があります。

  • 契約書類が未整備または不十分なところが多く、注文書・請書だけで取引をしているところ、それすらなく口頭で取引を行っているところが多々存在している。
  • 顧客との間では、代金を減額されたり、代金の支払いが遅延したり、品質に関してクレームをされたり、様々なトラブルが生じる。
  • 下請との関係でも、代金、品質、納期等をめぐって様々なトラブルが生じる。
  • 労働者との関係では、権利意識の高い労働者との間で多くのトラブルが生じている。
  • 製造業においては製品の差別化が競争の軸となっているので、自社の知的財産権をどのように守っていくかが大きな課題となっている。

このような特徴から、製造業においては、多くの法的トラブルが生じる可能性がありますので、顧問弁護士による専門的な法的アドバイスとサポートが不可欠となります。

製造業で顧問弁護士が必要になる場面

製造業で顧問弁護士が必要になる場面は、大きく分けて以下の6つが挙げられます。

  • 顧客との紛争
  • 下請業者との紛争
  • 知的財産権に関する紛争
  • 労働者との紛争
  • 契約書のチェックおよび作成
  • その他顧問弁護士が必要となる場面

顧客との紛争

製造業は、代金や製品を巡って顧客とトラブルが発生するケースもあります。発注者と揉めた際に、顧問弁護士からどのようなサービスを受けることができるかを紹介しましょう。

・代金を支払ってもらえない場合の対応

顧客との製品の品質や納期をめぐる関係の悪化、顧客の信用状態の悪化等によって、顧客から約束通りの代金を約束した時期に支払ってもらえない場合があります。その結果、自社の資金繰りが悪化してしまう場合もあります。

こうした場合には、顧問弁護士に迅速な対応をしてもらうことが大切です。内容証明郵便を送ってもらい、支払いを督促する。相手方が話し合いのテーブルに着いてくるなら、できれば一括払いをさせる。そううまくいかない場合には、分割払いを約束させ、担保を取る。それもうまくいかないという場合には、相手方の預金や不動産に仮差押えをかけていくことを顧問弁護士にやってもらいましょう。

・製造した製品に関してクレームが入った場合の対応

製造した製品に契約不適合(瑕疵)が見つかり、先方からクレームが入るケースも少なくありません。このような場合、当事者間で修補、代金減額等で、すんなりと話がまとまればよいのですが、話がこじれた場合には、解除、損害賠償の問題となりますので、早めに顧問弁護士に相談した方がいいでしょう。

下請業者との紛争

製造業では、実際の製造にかかる仕事を下請業者に任せる場合が多々あります。そこで代金、品質、納期をめぐっていろいろな問題が生じてきます。

・下請代金の問題

下請業者との関係で起こりやすいトラブルが、代金の問題です。後で触れる品質との関係で、品質が今一つであったために、当初の契約金額から減額したいという場合です。また、この逆に、下請業者から不当な水増し請求がされる場合もあります。

どちらの場合にも、当初の契約書で合意した品質と金額が前提となります。自社での解決に自信がないという場合には、顧問弁護士に早く相談されることをお勧めします。

・納期の大幅遅延による損害の対応

下請業者の製造トラブル等により、納期が大幅に遅れる場合もあります。この場合、下請の製造する部品を自社の製品に組み込んで、顧客に販売することになっていたというような場合には、自社は顧客から損害賠償を請求されることがあります。自社としては、この損害を下請業者に請求していかざるを得ません。

このような場合にも、相互の話し合いで決着するのがベストですが、うまくいかない場合には、顧問弁護士に頼んで、交渉を進めてもらいましょう。それでも解決できない場合には、訴訟を提起してもらうのがよいと思います。

・下請法・独占禁止法に関する対応

自分の会社の顧客が、大企業である場合には、その強い立場を濫用して無理な要求を言ってくることがよくあります。製品納入後に代金の値引きをもとめてきたり、支払い時期を勝手に延期してきたりします。

前者は、優越的地位の濫用にあたり、独占禁止法の問題となりますが、後者の問題は下請代金支払遅延防止法(下請法)の問題となりえます。

法律の解釈の問題となりますので、顧問弁護士に早めに相談し、相手方との交渉を進めていってもらうのがよいと思います。

知的財産権に関する紛争

製造業が注意しなければならないのが、特許権、商標権、意匠権といった知的財産権について、他社の権利を侵害していないかです。

自社が他社の権利を侵害している場合、他社が自社の権利を侵害している場合の2つの正反対の場合があります。

自社が新しい製品の製造・販売に乗り出す場合には、他社の権利を侵害しないように万全の注意を尽くすことが必要です。
逆に、自社の権利が侵害されているという場合には、警告書を相手方に送り付け、侵害状態の解消を図ってもらうことが必要になります。こうした場合、顧問弁護士を雇っていれば、迅速に対応してもらえますので、大きなメリットがあります。

労務問題に関する紛争

製造業に限った話ではありませんが、会社を経営している以上は労働者とのトラブルにも備えなくてはなりません。昨今では、労働者の権利意識が高まっていますので、昔のようなナアナアの解決は困難となっていますので、慎重な対応が望まれます。

・長時間労働や残業代支払いについての対応

昔ながらの良好な労使関係を前提として、サービス残業はもはや許されません。厳格な労働時間管理のもと、残業代を管理し、発生した残業代はすべて支払っておかないと後で統同社から請求されることになります。

通常、在職中は残業代請求をされることはありませんが、退職する社員は、会社に遠慮する必要がなくなるので、残業代請求をしてくる場合が増えています。時効は3年とされていますが、3年分の残業代は数百万円という大きな金額となる場合が多々あります。こうした事態に陥らぬように、顧問弁護士と相談しながら、適切な経営を行っていくことが必要です。

・労働災害における対応や予防

製造業は機械や危険物を扱うケースも多く、常に事故と隣り合わせです。事故が発生し、従業員がケガをした場合は、労働災害の対応が必要です。不幸にも労働災害が発生した場合には、顧問弁護士と相談し、迅速な解決を図っていくことが必要です。

・パワーハラスメントに対する対応

製造業の現場では、多くの労働者が働いています。労働者間で口論が生じることも多く、上司と部下の間のパワーハラスメントには警戒しなければなりません。男性と女性の間のセクシュアルハラスメントにも要注意です。こうしたハラスメントは、最初の対応が肝心ですので、早い時点で顧問弁護士に相談するとよいでしょう。

・問題社員に対する解雇対応

従来は、労働者の大半は会社人間で、会社の組織から浮き上がった問題社員は、稀にしか存在しませんでした。しかし、昨今では、問題社員の話をよく相談されるようになりました。会社としては、こうした問題社員を放置しておくと、周囲の社員にも悪影響を及ぼすので、早めに対応をしないといけません。

注意をして行動を改めてもらえればよいのですが、そうならない場合には、最終的には、諭旨退職、又は、解雇という手段を取らざるを得なくなります。
この場合には、将来的に、訴訟が提起される恐れがありますので、事前に十分な証拠収集を行い、退職まで慎重な手続きを踏んでいく必要があります。顧問弁護士に相談し、アドバイスを仰ぐのがよいでしょう。

契約書のチェックや作成

このように、製造業においては、顧客や下請業者、労働者と様々な紛争が生じる可能性があります。一旦紛争となってしまった場合に、その紛争で勝てるかどうかを決めるのは、相手方との間に結んだ契約書になんて書いてあるかです。

多くの会社では、契約書は必要悪とみなされ、内容をよく検討せずに、契約書を交わしていることが多いようです。そこになんて書いてあるかが、将来の紛争の行方を左右することになるので、顧問弁護士に頼んでリスクを洗い出してもらうことが必要です。

・顧客、下請との間の基本契約と個別契約

前述したように、多くの会社では基本契約がないまま、注文書・請書で契約が締結されています。ひどい場合には、それすらなく口頭での契約しかないというところもあります。基本契約を結び、それに従って個別契約(注文書・請書)を締結するという形に持っていくことが、改善の第一ステップとなります。

・労働者との契約

雇用時には、雇用契約を取り交わし、給与、勤務時間、有休休暇、転勤の有無等の雇用条件を明確に定めておくことが必要です。

しかし、それにもまして重要なのは、退職時です。特に、退職者が会社に不満を持ってやめていくような場合には、守秘義務を取り交わし、会社の営業秘密等を転職先の会社が流用されることがないようにしておきましょう。

また、後で触れますが、今の時代、SNS等への書き込みは会社の評判を落としますので、会社を誹謗中傷しないことを約束してもらっておくことも大切です。

その他、顧問弁護士が必要となる場面

昨今、会社の製品や会社の社内の状況について、SNS等のインターネットに会社を誹謗中傷する書き込みがなされ、会社に大きなダメージを与えることが増えてきています。

こうした事態を避けるために、顧問弁護士に相談し、早い段階で、誹謗中傷記事の削除請求、そうした投稿をした者への損害賠償請求を行っていくべきでしょう。

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青山東京法律事務所の強み

青山東京法律事務所の強みは、金融、コンサルティング、総合商社等、人生経験の豊富な弁護士が在籍していることです。弁護士は合計で3名在籍していますが、全員が弁護士以外の仕事を経験しており、幅広い分野で活躍した過去があります。

代表の植田弁護士は、多数の製造業の顧問先を抱えており、契約書のレビュー、取引先からの代金回収、カスタマーハラスメントへの対応、問題社員対応等の業務を行っています。もちろん、顧問先で生じた訴訟案件にも多数携わっています。その結果、どんな問題に対しても経験を有しており、スピーディーかつ適切な対応が可能となっています。

製造業の解決事例

当事務所が対応してきた案件は以下になります。

  • ①製造業の解決事例1-海外ライセンサーとの契約交渉
  • ②製造業の解決事例2-特許権侵害訴訟
  • ③製造業の解決事例3-ユニオンとの交渉
  • ④製造業の解決事例4-問題社員対応

詳細は以下をご確認ください。

①製造業の解決事例1-海外ライセンサーとの契約交渉

クライアントは、アパレル製品を販売する会社で、アメリカの有名ブランドのライセンス生産を行っていた。

ライセンス契約は3年に一度更新することになっており、ライセンサーのアメリカの会社から、新契約を提示してきた。60頁もある英文契約であり、その中には、奴隷労働の禁止、贈収賄禁止等、アメリカ法の厳しい規定が盛り込まれていた。

また、ライセンス契約には、最低限の売上を保証する条項が含まれており、ライセンサーに一方的に有利なものだった。

クライアントは、青山東京法律事務所に相談し、ライセンサーとの交渉を任せた。弁護士は、契約書を隅々まで検討し、クライアントにとってのリスクをすべて洗い出した上、クライアントとの協議を重ね、どうしても譲れないと判断したところについて、契約書を修正し、ライセンサーに提示した。その修正要望は、ライセンサーに受け入れられ、調印に至った。

②製造業の解決事例2-特許権侵害訴訟

クライアントはバッグを製造販売する会社であったが、機能性で差別化を図っており、ある機能を特許登録した。ところが、競合メーカーが、特許登録した機能に酷似した機能を持つ製品を販売し始めた。競合メーカーは販売力に優れ、クライアントの担当者は、今のうちに競合メーカーの動きを止めないと市場で負けてしまうのではないかと不安を感じ、青山東京事務所の弁護士に相談にやってきた。

弁護士が、これまでの経緯を聴取したところ、特許登録をしてもらった弁理士から、既に2度警告書を送ったが、競合メーカーはこれに取り合わず、むしろクライアントの特許が無効ではないかと回答してきたということであった。

弁護士は、この弁理士に特許侵害である旨を書いた意見書の作成を依頼し、それを元に競合メーカーの販売差止の仮処分を提起した。その後、相手方と和解に至り、相手方は機能を変更した。

③製造業の解決事例3-ユニオンとの交渉

クライアントは金属加工業の会社で100名程の従業員を工場に抱えていた。会社の中で社長と常務の内紛があり、常務が勝ち、社長が追い出された。社長は、子飼いの従業員20名程に会社の中で抵抗を続けるように命令し、彼らは社長室に討ち入る、金庫を開けて印鑑を持ち出す等の暴動を引き起こした。

新たに社長に就任した常務は、社内抗争が続くと、他の従業員への影響が大きくなるので、暴動を起こした20名を懲戒解雇にしたところ、彼らは地元のユニオンに駆け込み、集団で会社に対して、職場への復帰を求めてきた。常務が青山東京法律事務所の弁護士に依頼してきたことから、弁護士はユニオンとの交渉を行うことになった。

弁護士は、暴動という事実があり、それがビデオに録画されていること、また、暴動を起こした結果、他の従業員も20名の復帰を望んでいないことを説明し、ユニオンに退職を前提とした条件を考えるように伝えた。ユニオンは当初1年分もの退職金を支払うように提案してきたが、懲戒解雇から会社都合退職に切り替え、また、中退共の退職金も受け取れるように手配をすることを逆提案した結果、約6か月分の退職金を上乗せすることで決着した。

④製造業の解決事例4-問題社員対応

ある部品製造業の会社のある製品の製造グループで、検査偽装が行われていた。グループに属する4名の社員のうちのリーダー格の者の指示のもと、全員が示し合わせて、出荷前の品質検査において合格値が出ない(ある特定の箇所で測定することになっていた)と、別の箇所を図り直して、そこで合格値が出れば、それで合格したこととする対応が行われていた。

社長は、すぐに取引先の会社に報告し、頭を下げて誠心誠意謝罪して、今後の対応策を提示したことから、取引先の理解を得た。

社長は、グループの従業員に対する対応について、当事務所の弁護士に相談した。弁護士は、懲戒処分の問題となるが、それには十分な証拠収集が必要となるので、慎重に対応する必要があることを伝えた。

そして、グループのメンバーからヒアリングを行い、このミスが故意のものか、過失によるものかを見極めるようにアドバイスした。その上で、彼らが認めて反省するなら、軽い懲戒処分で済ませたらどうか、ただし、先々トラブルが大きくなることを想定すると、彼らに偽装の経緯をまとめた文書を作成し、提出させた方がよいであろうと伝えた。

社長は、製造グループのリーダーを呼び出し問いただすと、リーダー格の男は、自分たちのグループの作業ミスが多いと思われるのが嫌で、3年前から仲間で示し合わせて偽装を繰り返してきたという。本人も深く反省しているというので、罪を認め事の経緯を書いた文書を提出するなら、今回は軽い処分で留める旨を約束した。

懲罰委員会は、その後グループ全員に3ケ月の減給処分をすることを決めた。ところが、リーダー格の男とその他2名は居心地が悪かったのか、依願退職を申し出てきた。残された1名だけは「自分は悪くない」と言って一向に取り合おうとしない。それどころか、この1名の従業員は、同じ仕事で再び検査偽装に手を染めたのである。

そこで、社長は、再び弁護士に相談し、この時点で懲戒解雇は可能であるかどうかを尋ねた。弁護士は、彼が故意の検査偽装に携わっていたことが明らかであるので、懲罰委員会を開き、懲戒解雇を言い渡すことは可能であるとアドバイスした。

製造業における顧問弁護士のサポート内容

青山東京法律事務所は、これまでも製造業の顧問先に対して、上記に書いた通り、様々なサービスを提供してきました。皆様のイメージがわくように、顧問契約をした場合のサービス内容を説明していきましょう。

契約書の整備とチェック

自社に有利な条件でビジネスを進めていくために必要となるのが契約書です。相手方から提示された契約書は、通常、相手方に有利にできているので、自分に不利な条項が含まれていないかどうかをよく確認することが必要です。

また、契約書は取引条件を定めるものでもありますので、経済的条件が自社に適切な利益をもたらすものであるかどうかも十分に確認する必要があります。

青山東京法律事務所では、契約書の法的側面の検討だけでなく、経済的側面からもアドバイスをしていくように努めております。

顧客、下請とのトラブル対応

契約が成立し、製品の製造、販売が始まると、様々なトラブルが発生します。製品に不具合があった場合の顧客対応、下請の納入してきた製品の品質問題等です。

将来のビジネスを守るためには、当事者間の話し合いで穏便な解決を図っていくことが大切です。

しかし、トラブルの性質、相手方の態度によっては、そうもいかない場合があります。もし、相手方と話し合いをしていても、埒が明かず、より深刻な問題に発展しそうだという不安を感じられる場合には、早めにメールなり電話なりで、顧問弁護士に相談することをお勧めします。

労務に関する助言やトラブル対応

労働者の権利意識が高まった昨今では、残業代支払いやハラスメントのみならず、メンタルヘルスの問題、問題社員の取り扱い等様々な労務問題が生じます。

こうした問題は、自社の社員に担当させると、精神をすり減らしてしまい、他の仕事にも影響が及びます。早い段階で顧問弁護士に任せ事態の収拾を図ってもらう方が、会社のビジネスのためにはよいのではないでしょうか。

その他の問題への対応

その他、現場ではありとあらゆる問題が生じます。これまで、青山東京法律事務所で扱った案件の中には、取引先からの債権回収、取引先の破産に対する対応、退職していった社員が入ったユニオンからのクレームに対する対応などがありました。こうした種々雑多な問題への対応も可能ですので、ご安心下さい。

顧問弁護士の料金プラン

青山東京法律事務所では、顧問弁護士の依頼において3つの料金プランを設定しています。

コース 対応業務 執務時間
5万円コース ・簡単な契約書のレビュー(2本)
・電話やメール相談(上限2本)
2時間
10万円コース ・簡単な契約書のレビュー(4本)
・電話やメール相談(2〜4本)
4時間
20万円コース ・簡単な契約書のレビュー(8本)
・電話やメール相談(4〜8本)
8時間

それぞれのプランの内容を説明しましょう。

5万円コース

最も安価なプランが5万円コースです。自社で法律問題が生じることは、ほとんどないが、安心のために、顧問弁護士をお願いしておきたいという会社向けのサービスです。執務時間は短時間となりますが、契約書のレビューや電話・メール相談に対応します。また着手金の割引は10%で設定しています。

10万円コース

10万円コースでは、契約書のレビューや電話・メール相談の上限がそれぞれ増加します。青山東京法律事務所の標準的な顧問契約で、多くの会社がこのコースを利用しています。着手金の割引は20%、お問い合わせに対する対応は3営業日以内に行います。

20万円コース

20万円コースは、顧客や取引先との法律問題や労務問題が頻繁に起こる会社向けのサービスです。お問い合わせに対する対応は2営業日以内、着手金の割引は30%となります。

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